“紙の本じゃなきゃ”と思ってた僕が、Kindleで読書を続けられた理由

夜が静かに深まる頃、温かいお茶を淹れながら、ふと思い返すことがあります。

「本は紙じゃなければダメ」と、なんとなく決めつけていた頃の自分のことを。けれど今、手元にはKindleという小さな端末があります。そして不思議なもので、以前よりもずっと自然に、読書という静かな時間が日常に寄り添ってくれているのです。

目次

なぜ「紙の本じゃなきゃ」と思っていたのか

紙の本への愛着と思い込み

幼い頃から、本は書店で手に取り、重さを確かめ、ページをパラパラと音を立ててめくりながら選ぶもの。読み終えた本は本棚にそっと戻し、背表紙を眺めながら「ああ、あの物語」と思い出す。その一連の体験こそが、私にとっての読書時間でした。

電子書籍なんて、きっと何か大切なものが欠けているに違いない。漠然と、そんなふうに感じていたような気がします。

「記憶に残るのは紙」というイメージ

とくに心の奥で信じていたのは、「紙の本の方が記憶に残りやすい」という話でした。科学的な根拠があるのかは分からないけれど、なんとなく「やっぱり紙でないと頭に入らないんじゃないか」と思い込んでいたのです。

振り返れば、それは私個人の慣れの問題だったのかもしれません。

電子書籍への抵抗感

電子書籍への違和感の根っこには、「デジタル=無機質」という印象が静かに根づいていたのかもしれません。読書というのは、できれば静かで穏やかな時間であってほしい。そんな願いがあったからこそ、デジタル画面での読書には、なんとなく距離を置いていたのだと思います。

それでもKindleを手に取ってみた理由

読むハードルを下げたかった

電子書籍に興味を持ったきっかけは、案外と現実的な小さな困りごとでした。

分厚いビジネス書を朝の電車で開こうとして、思った以上に重くて腕がじんわりと疲れてしまったこと。夜、ベッドサイドで本を読もうとしたけれど、手元の明かりでは文字がぼんやりして見えにくかったこと。

そんな小さな不便さが静かに積み重なって、「もう少し気軽に読書ができたらいいのになあ」と思うようになっていました。

「ちょっと試してみる」気持ちで始めた

最初はスマホにKindleアプリを入れてみることから始めました。「まあ、試してみるだけなら」という軽やかな気持ちでのことでした。

案の定、スマホでの読書は予想通り目が疲れて、長い時間は続けられませんでした。そんな時に、Kindle専用の端末というものがあることを知ったのです。

本屋に行けない状況が背中を押した

決定的だったのは、書店に足を向ける機会が少しずつ減っていったことでした。忙しい日々が続く中で、わざわざ本屋さんまで出向く時間を作るのが、だんだんと難しくなっていたのです。

「あの本、読んでみたいな」と思った瞬間に、すぐ手に入れられる電子書籍の手軽さが、少しずつ魅力的に見えてきました。

Kindleを使ってみて気づいた、小さな”心地よさ”

目にやさしい「読書専用端末」の落ち着き

実際にKindle Paperwhiteを手にした時、最初に心に残ったのはその「静けさ」でした。

スマホのように急に通知が届くこともなく、ついSNSを見てしまいたくなる誘惑もない。本当に、読書だけに向き合える小さな空間がそこにあったのです。E Inkディスプレイに映る文字は、確かに紙のような落ち着いた風合いで、長い時間読んでいても目がしっとりと楽だなあと感じました。

英国サセックス大学の研究では「6分間の読書でストレスが68%軽減される」という結果が報告されていますが、Kindleでの読書時間には、確かにそんな癒しの効果を実感できるような気がします。

軽さと手軽さが、読書のリズムを整えてくれた

Kindle Paperwhite(約200g台前半)という軽やかさは、想像していた以上に読書の時間を変えてくれました。

ベッドで横になりながらでも、電車で立ったままでも、どんな姿勢でも自然に本を持っていられる。この気楽さが、「ちょっと5分だけ読んでみようかな」という小さな気持ちを、そっと後押ししてくれるのです。

持ち歩かなくていい気楽さと自由さ

何冊もの本を同時に持ち歩けることの便利さは、実際に体験してみて初めて心に沁みました。

気分によって違うジャンルの本を読みたくなることがあるのですが、Kindleなら小説もエッセイもビジネス書も、すべて一台の中に静かに納まっています。「今日はどの本を持って行こうかな」と朝に悩む必要がなくなったのです。

それでも「紙の本がいい」と思う瞬間はある

ページをめくる感触の魅力

正直なところ、Kindleを愛用している今でも、紙の本への愛着が完全に消えたわけではありません。

ページをめくる時の「パラリ」という小さな音や、紙の質感を指先で感じる瞬間。それは確かに、デジタルの端末では再現できない体験なのだと思います。

装丁や紙の手ざわりを楽しむ喜び

美しい装丁の本をそっと眺める楽しさ、表紙の質感を手のひらで確かめる喜び。それらは紙の本ならではの、やさしい魅力なのだと思います。

とくに写真集や画集、装丁が美しい小説などは、やはり紙で手に取って、ゆっくりと味わいたいと思うのです。

使い分けが心を軽くしてくれた

ジャンルや気分で自然と選べるようになった

しばらく両方を使い続けているうちに、気がつくと自然な使い分けができるようになっていました。

通勤時間や夜眠る前の読書はKindleで。ゆっくりと味わいたい小説や、手元に置いておきたい本は紙でそっと。そんなふうに、その時の状況や心の動きに合わせて選べるようになったのです。

どちらかを否定しなくていい安心感

「紙か電子か」という二択で考える必要がないのだと気づいた時、心がふわりと軽くなったのを覚えています。

どちらも読書を楽しむための大切な手段であって、どちらが優れているかを決める必要なんてない。そう思えるようになってから、読書そのものがより自由で、やさしいものになったような気がします。

Kindleをおすすめしたい人、ためらっているあなたへ

「うまく読めない」と感じている人へ

もし今、読書がうまく続かないと感じているとしたら、それはあなたの気持ちや意志の問題ではないのかもしれません。

重い本を持ち運ぶ小さな負担、暗い場所での読みにくさ、本を置く場所のこと。そんなささやかなストレスが静かに積み重なって、いつの間にか読書から少し距離を置いてしまうことは、決して珍しいことではないのだと思います。

少しでも迷っているなら、まず一冊読んでみて

「紙の本じゃなきゃ」という気持ちを、無理に手放す必要はないのだと思います。

まずは5分間だけ、Kindleで何か気になる本をそっと読んでみてください。きっと新しい発見があるのではないでしょうか。もし合わなかったら、また紙の本に戻ればいい。ただそれだけのことです。

結び:読むことが、少しだけやさしくなる選択肢としてのKindle

今、私の本棚には紙の本がそっと並び、Kindleにもたくさんの電子書籍が静かに眠っています。

どちらも大切な読書時間を支えてくれる、かけがえのないパートナーです。固定観念をほんの少し手放したことで、読書という行為が、より自由で豊かなものになったような気がします。

Kindleが私にくれたのは、読書を「特別なもの」から「日常にやさしく寄り添うもの」に変えてくれたことだったのかもしれません。いつでもどこでも、静かに本と向き合える時間を、そっと作ってくれたのです。

あなたにとっての「静かに読む時間」が、どんな形でもいいから戻ってきますように。そして、その時間があなたの日々を、ほんの少しだけ豊かにしてくれますように。

夜の静けさの中で、そんな願いを込めて、この小さな体験談をお届けします。

参考情報

本記事で言及した読書のストレス軽減効果は、英国サセックス大学の研究報告に基づいています ※Kindle端末の仕様については、Amazon公式サイトの製品情報を参考にしています ※記載内容は筆者の個人的な体験に基づくものです

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次